法華経信仰の利益を一言でいえば「現世安穏(げんぜあんのん)・後生善処(ごしょうぜんしょ)」即ち、現世(げんせ)は穏やかに、後世(こうせい)には善い所に生まれるということであります。
私達は信仰によって、この無常な世の中を「安穏(あんのん)な日々」と、未来には「後生善処」即ち成仏を期する「祈りの生活」を日々過ごすことが大切です。これを「現当二世(げんとうにせ)」の利益(りやく)と言います。この利益は法華経の教えを素直に修行することによって、安らぎ(健康・経済安定・和合)が得られます。
日蓮聖人は『法華経の行者の祈りのかなわぬことはあるべからず』と仰せられています。日蓮聖人もその祈りによって母上の病を治し四ヵ年の寿命を延ばしておられます。その他たくさんの奇跡や、奇瑞(きずい)の現世利益を現しておられます。
法華経の「現世利益」には病気が治った、災難を逃れたということもあります。しかし各々の個人の性質(機根[きこん])の根本(こんぽん)からの開発を目的とするものであります。さらに大事は成仏にあります。このことを法華経は最大の目的とするのです。
このように考えますと、新興宗教の大部分の利益は、病気平癒・商売繁盛等の欲望だけを強調しているのは「邪道」であるといわねばなりません。
日蓮聖人は『本佛釈尊(ほんぶつしゃくそん)の救いの中の喜びがまことの喜びである』と申されています。本佛の大慈大悲(だいじだいひ)に抱かれているという悦びが最も幸福(しあわせ)であります。それに比べて、病気退治等は小さな利益といえます。しかし、現世利益を軽んじているのではありません。利益は万人の求めるものです。法華経信仰を、信仰生活として正しく修行実践すれば、私たちの日々の生活の中に幸福・平等・平和は自然として生まれてくるのです。正しく法華経を受持し、お題目の修行が最も大切であります。
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