院は僧侶の居住するところという意味であり、「寺」より「院」がかつては上位でありました。法号の院は天皇の退位後の居住をさす言葉で、天皇の退位のみであった院が皇后や親王、そして摂政関白、将軍、大名の退位したよび名に使用されました。本来は一寺を創建して自己の菩提所とした人が死にますと、その名を院号としたのです。
現在ではどんな人にでも院号をつけるようになりましたが、昔は容易に授与すべきものではなかったようです。水戸光圀が久昌寺に対して「近世の僧・・・みだりに院号を授くるは大いなるあやまりなり」と院号使用の制限を言い渡したということです。現在は一般市民の社会的地位も向上していますし、差別観念にとらわれることもありませんが、古い先祖の法号が院号であれば相当な人物であったのです。法号を価値あるものとする良識をもってほしいものです。
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