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「介護問題を考える」

記事:布教師 市橋諦秀

 
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 近年、高齢化が急速に進み、介護の問題が深刻になっています。人は必ず老いて体が不自由になり、介護が必要になります。家族の介護はどこの家庭でも直面する問題ですから、他人事と思わず若いうちからしっかりと考えておかなければなりません。

 私の父は長い間自宅で介護を受けてきました。認知症を患い、昼と夜の区別が無くなり、24時間目が離せず、大変苦労しました。また先日、遠く離れて暮らす義母が義父の介護に疲れ病に倒れ、入院しました。妻が定期的に実家へ行くことになりますが、長く続けばかなりの負担となります。離れて暮らす親の面倒を見ることは大変であり、早めに話し合っておいたほうが良いようです。

 以前は三世代同居の家庭が多く、家族で高齢者を支えていました。しかし少子化や核家族化が進んだため、介護の担い手が減り、年老いた親や配偶者の面倒を一人で抱える方が増えています。その結果、介護者が心身ともに疲れ果て、鬱になったり、虐待や自殺等の痛ましい事件を引き起こしてしまうこともあります。

 今後、介護を必要とする高齢者はさらに増えていくでしょう。国も在宅介護を推進していますので、家族の負担はますます重くなると思われます。愛情をもって最後まで介護を続けるためにも、一人で悩みを抱えないよう家族や身近な人が悩みを共有し、支え合っていくことが大切です。

 法華経には「衆生を愍(あわれ)むが故に、此(こ)の人間に生れたり」と説かれています。私たちは苦しんでいる人をあわれみ、支え合い、助け合って生きていくために人間として生まれてきたのです。正しい信仰を通して、人間本来の生き方に目覚めなければならないのです。介護をする人、される人にかかわらず、苦しみを抱えている人に声をかけ、手を差し伸べ、みんなで支え合える世の中にしていきたいものです。

南無妙法蓮華経

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