日蓮大聖人は、建長五年(一二五三)四月二十八日に清澄寺にて、十五年の遊学のすえ、立教開宗され『法華経』を広宣流布されてからというものの、大小様々な法難に遭われ心労することも絶えませんでした。
その為、衰弱しきった心身を癒すべく常陸(今の茨城県)の温泉に湯治へ向かわれました。
その旅の途中で池上宗仲の舘に立ち寄られましたが、体調が悪化され、弘安五年(一二八二)十月十三日午前八時頃六一歳で多くの弟子たちが見守る中、武蔵国池上(今の東京都大田区池上)の地にてご入滅されました。
この日蓮大聖人の亡くなられた十月十三日のご命日を中心に、全国津々浦々の日蓮大聖人門下のお寺で執り行われる法要が「お会式」です。
「お会式」の法要には日蓮大聖人が亡くなられた時、庭先の桜が時ならぬ花を咲かせたと伝えられている事から紙で桜の造花を作り、万灯に火を灯して飾ります。
「お会式」は中世の昔、日蓮大聖人の御影(肖像)の前で開く講会から「大会」(だいえ)・「御影講」(みえいこう)・「御影供」(みえいく)・「御命講」(おめいこう)などと呼ばれていました。
また、江戸の元禄の頃から
御命講や油のやうな酒五升 芭蕉
御影講の蓮やこがねの作り花 蕪村
精進の多き大工や御命講 許六
など、俳句・和歌・戯曲・錦絵・浮世絵などの多くの文学や芸術作品からも庶民の間に広く浸透していきました。
また、前日の十月十二日は「お逮夜」と呼ばれ、「お逮夜」・「お会式」は大勢の壇信徒がお寺に集まり、太鼓を鳴り響かせ、「南無妙法蓮華経」のお題目をお唱えし、日蓮大聖人に対する報恩感謝のお経をお供えしています。
皆さんも自分のお寺の「お会式」に是非お参り参加して、ありがたいこの『法華経』を、命をかけて広められた日蓮大聖人に対して、報恩感謝の気持ちをもってお唱えしましょう。
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